「俺が聞いた話だと、城北区にある、陸運局には呪いのプレートってのがあって、
封印されているナンバーがあるらしいよ」

「へえ、面白そうな話だね」

俺は、深夜の改札で、怪談話を聞く事になった。

 

呪いのナンバープレート

最近は、自分でナンバープレートを選べるようになって来たが、昔はそんなことがなく、登録する陸運局からもらう形だった。

ある日、ある局員が、戻って来たナンバーを見て、首を傾げた。

「あれ・・・?」

つい三週間前に、やはり戻って来たナンバープレートの中にも、同じナンバーを見たような気がしたからだ。

「デジャヴか?」

と、局員はさして気にも止めず、そのまま処理を続けた。

 

それから一か月後。また同じナンバーがあった。

今度は間違いない。

さすがに気味が悪くなって来た局員は、友人の局員に打ち明けた。

「調べてみようか」

本来はいけないことではあったが、あまりの友人の怯えように、気になったのだろう。パソコンを使用し、ナンバーの経歴を調べてみた。

払い出しのあと、2週間以内に廃車となり、ナンバーは陸運局に戻って来ていた。

二人はモニターの前で顔を見合わせた。

 

一度や二度ではない。今回で五度目だ。

 

一、二度ならば偶然で片付けられる。

だが、五度ともなると、確率は天文学的数字だ。

 

気になった二人は、二人の共通の友人でもある、警察官へと調査の輪を広げた。

 

すると、驚くべき共通点を見出す事となった。

 

・四人家族の新車としてナンバー交付をされている。
・白のセダンである。
・家族の誕生月が、ナンバーと同じ数字で、しかも一人づつ収まる。

そして。

全て、交通事故で大破、廃車となり、陸運局に戻って来ていた。

「一家、全員死亡しているのも、共通項なんだ・・・」

警官は重く、そう呟いた。

 

局長や他の人に言ったとしても、信じてくれるはずがない。
これといって特別不吉な語呂合わせのナンバーでもない。

差しとめる事は出来ない。

窓口を担当する別の友人に、試しに条件のあてはまらない車、誕生月を持つ人へと密かに交付して貰った。

 

二年後。

 

ナンバープレートは戻って来た。
忘れかけていた頃である。

ナンバーは車から盗まれ、別の白のセダンにつけられ、また全ての条件を満たす家庭で運転され、

 

四人の命を飲み込んで、戻って来た。

 

それからは、最初の局員がひっそりと、彼の机の引き出しに保管し、眠らせていた。

 

だが。彼の机はもうない。

 

 

 

彼もまた、条件を満たしてしまったのだから。

end


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